お口の中をいつも潤してくれている「唾液」は、普段あまり意識することのないものです。
しかし、そんな唾液には健康維持にとても大切な成分が多く含まれており、お口の中だけでなくカラダの中も守ってくれる驚きの効果が秘められています。
そこで今回は、意外と知られていない唾液の役割（成分や効果）をご紹介します。
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唾液の成分と効果
唾液が正常に分泌される人の場合、1日に1～2リットルもの量が分泌されていると言われています。唾液の成分のほとんどは「水分」ですが、わずかに含まれる酵素などの成分が、私たちのカラダを守ってくれる重要な役割を担っています。
1）お口の中を潤す「潤滑・湿潤作用」
唾液の成分の中でもっとも多い「水分」は、お口の中を潤してくれる潤滑作用や湿潤作用があります。お口の中の潤いが保たれることで、粘膜の動きも滑らかになり、口腔内のネバネバ感の改善につながり、口臭や虫歯などを抑えてくれる効果があります。
また、唾液に含まれる「ムチン」という成分は、唾液に「適度な粘り気」を与えてお口の乾燥を防いでくれます。
2）汚れを洗い流す「自浄作用」
お口の中は、食べ物の残りカスやプラーク（歯垢）などの「汚れ」が、歯の表面や間などに付着して溜まっています。しかし、充分な唾液量がある人の場合は、これらの汚れを洗い流すことができて、お口の中をキレイにする「自浄作用」があります。
3）消化を助ける「消化酵素」
唾液には「アミラーゼ」という消化酵素の一種が含まれています。
アミラーゼは、デンプンなどの多糖類をブドウ糖や麦芽糖などに分解して腸内で吸収しやすい大きさにしてくれる働きがあります。炭水化物分解酵素とも呼ばれており、カラダへの吸収を助けてくれる重要な消化酵素です。
4）細菌から守る「抗菌作用」
唾液に含まれる「ラクトフェリン」や「リゾチーム」は、免疫・抗菌作用をもった生命維持にとても大切な成分です。外気などから侵入するウィルスや細菌に抵抗して増殖を抑えてくれます。
かぜなどに感染するリスクを減らすだけでなく、虫歯や歯周病の原因菌の繁殖を防ぐ作用もあります。
5）お口の中を「中性」に保つ
唾液にはお口の中を「中性」に保つ働きがあります。
食事や細菌が原因となって、お口の中が「酸性」に傾くと虫歯になりやすくなりますが、唾液に含まれる重炭酸塩やリン酸塩などの成分には「緩衝作用」があり、お口の中を中和して虫歯にかかりにくい口内環境をつくってくれます。
6）歯の再石灰化
唾液にはカルシウムやミネラルを歯に浸透させて「エナメル質を修復」する効果があります。
甘い酸性の飲食物や虫歯菌が発生させる酸によって溶けてしまった歯の表面を「再石灰化作用」によって蘇らせて、虫歯を防いでくれます。
7）口腔内の「刺激」から守る
唾液に粘り気を与える「ムチン」は、粘膜を傷つける恐れのある熱い飲み物や刺激物などをオブラートのように包んで、口の中やのど、食道などを守ってくれています。
また、食べ物を柔らかくして「食塊（食べ物のかたまり）」をつくってくれるので、食べ物が「飲み込みやすく」なる効果もあります。
唾液の質「サラサラ唾液」と「ネバネバ唾液」の特徴
唾液には大きく分けて「サラサラ唾液 」と「ネバネバ唾液 」の二種類があり、自律神経のバランスによって分泌される唾液の質が変化することがあります。
漿液性唾液（しょうえきせいだえき）
漿液性唾液は、リラックス状態により「副交感神経」が優位になることで分泌されやすくなり、サラサラとした唾液の質になります。唾液量も比較的多く分泌されるので、お口の潤いや自浄作用、消化吸収や中和作用などカラダの様々な健康の手助けをしてくれます。
粘液性唾液（ねんえきせいだえき）
一方で、粘液性唾液は、主にストレスや緊張などにより「交感神経」が優位になることで分泌される唾液で、サラサラ唾液に比べて分泌量も少なくネバネバしているのが特徴です。粘り気があることで、ウィルスや細菌を絡めってカラダへの侵入を防ぐ働きがあり、粘膜の保護・保湿などの効果もあります。
ストレスなどにより交感神経が優位に働く状態では、漿液性唾液（サラサラな唾液）の分泌は減少するため、お口の中のネバネバ感がより強くなって口の中が乾くなどの症状がでてきます。
唾液の成分と効果 まとめ
- 潤滑・湿潤作用
- 自浄作用
- 消化酵素
- 抗菌作用
- 中和作用
- 歯の再石灰化
- 粘膜の保護
以上のように、唾液にはカラダにとってとても大切な作用が沢山あります。唾液が少なくなると口の中のトラブルに加えて、カラダに多くの弊害をもたらす事になりますので、唾液量の少ない人は意識的に唾液を増やす方法を実践しながら、キレイで健康的な口内環境を目指していきましょう。
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