仕事や人間関係のお付き合いを優先するあまり、自分の健康を疎かにしがちな現代の生活。
そんな状況では、ストレスや睡眠不足、偏った食習慣などで心身に負担がかかり疲れが溜まるのも仕方のないことです。しかし、そんな「疲労」がアンモニア臭のする汗臭さをともなった体臭の原因になることも。
そこで今回は、体からアンモニア臭を発する疲労臭の原因と対策をご紹介します。
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疲労臭はどんな臭い?その特徴は?
汗がアンモニア臭くなる
疲労臭は、肝臓や腎臓などの機能低下により、本来は体の中で上手く処理されるはずの「アンモニア」が分解されずに体に残ることで、分泌される汗と混ざって尿臭のようなツンとした「アンモニア臭」を発する体臭です。
表面的な体臭対策では改善しづらい
一般的な体臭では、皮膚表面に分泌される汗や皮脂などが、細菌(皮膚常在菌 )に分解されたり外気に触れて酸化したりすることが臭いの主な原因となっています。
しかし、疲労臭のようなアンモニア臭を伴う体臭では、疲労やストレス、生活習慣などによる「体内部の機能低下」が大きく起因しているため、いくら表面的な臭い対策を行なっていてもなかなか改善しづらいという特徴があります。
疲労臭(アンモニア臭)の原因
疲労臭の特徴である「アンモニア臭」がする汗の臭いは、以下のような原因で発生します。
肝機能の低下
肝臓は代謝や解毒などの役割を担っている臓器です。しかし、暴飲暴食・運動不足・アルコールの過剰摂取・ストレス・睡眠不足・過度の筋肉疲労などにより肝機能が低下すると、通常尿として排出されるアンモニアが血液中に流れ出し、汗とともに分泌されることでアンモニア臭が強くなります。
肝機能が低下すると、エネルギー代謝や神経伝達物質の分泌が低下し、倦怠感や不眠などの疲労症状を引き起こすと言われています。つまり、疲労による肝機能の低下は、さらなる疲労を引き起こすとも言えます。
腎機能の低下
腎臓が疲労やストレス、偏った食生活などで機能低下を起こすと、血液をろ過して体に不要な老廃物を排出する役割が働かなくなり、アンモニアが体内に残留して汗を臭くします。また、肝機能が鈍ることで腎臓に負担が増すために、さらに機能が低下するという問題も潜んでいます。
汗腺機能の低下
エアコンによる日常的な温度管理や、デスクワークなどによる慢性的な運動不足は、汗腺機能を低下させます。発汗が上手く機能しない状態では、アンモニアなどの老廃物を溜め込みやすくなるため、外出時などに汗をかいた場合に、強いアンモニア臭を伴った汗を分泌することになります。
血行の悪化
睡眠不足やストレス、運動不足や偏った食事制限によるダイエットなどにより血行が悪くなると、基礎代謝が低下するだけでなく体が酸素不足に陥り「乳酸」を生成します。この乳酸は、アンモニアと結びつきやすい性質があるため、乳酸が汗とともに分泌されることでアンモニア臭を発生させます。
腸内環境の悪化
ストレスや疲労は、腸内の善玉菌を減らし悪玉菌を増やすとされており、腸内環境の悪化の原因になります。腸内環境が悪くなり便秘になると、アンモニアが便と一緒に排出されにくくなるので、血液中にアンモニアが取り込まれ全身をめぐり、最後は汗として分泌されます。
また、慢性的な便秘は、アンモニアのほか、硫化水素やインドールなどの有害物質を増やすので、肝臓の無毒化作業がさらに増えて肝臓を疲れさせる原因になります。
疲労臭(アンモニア臭)5つの対策
1. 適度な運動の習慣づけ
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、代謝を高め血行を良くしてくれます。血行の改善は乳酸を減らし、アンモニア臭を抑える効果があります。また、肝機能も改善され、アンモニアの分解や疲労症状の緩和が期待できます。
なかなか運動時間が確保できないという人は、「自宅で有酸素運動!家でできる室内トレーニングのすすめ」をご覧ください。
2. 入浴でゆったりバスタイム
湯船に浸かることは汗腺機能を高め、血流も良くしてくれます。シャワーで簡単に済ませるのではなく、入浴による「ゆったり」としたバスタイムが大切です。筋肉疲労の改善、疲れやストレスの軽減につながるだけでなく、就寝の2時間前くらいに入浴することで、眠りに入りやすくなる効果があるため、睡眠不足の解消にも役立ちます。
汗腺機能を高める入浴方法についての詳細は、「バスタイムで汗腺トレーニング!効果的に汗をかく入浴方法」をご覧ください。
3. 食生活の改善と、効果的な栄養補給
お肉や乳製品の食べすぎに注意
お肉や乳製品には、動物性脂肪や動物性タンパク質がたっぷり含まれています。そのため、必要以上に食べ過ぎると、腸内で有害物質(悪臭ガス)が発生したり、肝臓への負担が高まって肝機能が低下したりする原因になります。
健康的な食事は「一汁三菜」が基本ですので、ご飯・汁物・主菜(一品)・副菜(二品)を意識しした食生活へと改善していきましょう。また、タンパク質や脂質の代謝を助けてくれる「ビタミンB群」を一緒に摂るのもおすすめです。
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アンモニア臭を防ぐ食べ物
過度のアルコール摂取や暴飲暴食を控える事はもちろんですが、日頃の食事において意識的に疲労臭の改善に効果のある栄養素を含む食品を摂ることも大切です。
食物繊維 … ごぼう・れんこん・キャベツ・きのこ類・海藻類 …etc.
オルニチン … しじみ 、ヒラメ、キハダマグロ、チーズ、エノキタケ …etc.
クエン酸 … 梅干し、レモン、お酢、グレープフルーツ …etc.
ごぼうなどの「食物繊維」を多く含む食品は、腸内環境を整えてくれますし、しじみ等に含まれる「オルニチン」はアンモニアの分解を助けてくれます。また、梅干しなどに含まれる「クエン酸」は、ダメージを受けた細胞を修復するのに役立つので、疲労回復の効果をもつ成分です。
※ 食材で補うのが難しい場合は、サプリメントがお勧めです。
関連記事 / 肝臓を回復させる食事方法や栄養は?肝機能の改善メソッド
4. 生活習慣を見直す
生活習慣が乱れていると、アンモニア臭のする汗や体臭が発生しやすくなります。次のような生活習慣に心当たりのある人は、体内環境が悪化している恐れがあるので、ひとつずつ改善していきましょう。
- 毎日お酒を飲む
- タバコをよく吸う
- ストレスが溜まりやすい
- 睡眠不足、途中で目が覚める
- 食事制限によるダイエット中
過度の飲酒や喫煙は、肝臓での解毒作業を大幅に増加せて肝機能の低下を招きます。また、ストレスや睡眠不足、食事制限による極端なダイエットなどは、自律神経やホルモンのバランスを崩して、内臓機能を弱めたり血行不良を引き起こしたりする原因になります。
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5. アンモニア臭を消す、ミョウバン水
疲労臭の対策は、まずは体の中から改善していくことが大切ですが、分泌してしまった汗に対しての対策もあります。
それが「ミョウバン水」の活用です。食品添加物でもある「ミョウバン」は酸性のため、アルカリ性のアンモニア臭を抑える効果があります。また、皮膚を弱酸性に保ってくれるため、体臭の原因でもある細菌の繁殖を抑えてくれます。
ミョウバン水を活用した体臭対策については、「ミョウバン水の効果的な使い方!わきがや頭皮の消臭&汗対策」をご覧ください。
疲労臭(アンモニア臭)のまとめ
疲労臭を消すためには、肝機能や腎機能、汗腺機能、血行、腸内環境など、体の中から健康的な状態へと改善していくことが大切です。さらに、汗と共に分泌してしまったアンモニア臭への直接的なアプローチも忘れずに行うことで、アンモニアの嫌な臭いから開放されるはずです。
仕事に追われる毎日では、なかなか取り組むことが難しい面もあるかもしれませんが、疲労臭は日々のちょっとした心がけで改善することができる体臭ですので、アンモニア臭に悩まされている方はぜひチャレンジしてみて下さい。