普段あまり意識することのない「舌」の筋力。お腹周りの引き締めや足腰を強くするためのトレーニングは一般的ですが、舌筋を習慣的に鍛えている人は少ないのではないでしょうか?
舌の筋力の衰えは、知らず知らずのうちにお口の中の環境や顔周りに悪影響を与えて、口臭の原因になっていることも。
そこで今回は、舌を鍛える「舌トレーニング」のやり方やその効果についてご紹介します。
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舌トレーニングで「低位舌」を改善
本来、舌の正しい位置は舌先が上前歯のすぐ後ろにあり、舌の広い部分が上アゴに軽くついている状態が望ましいと言われています。しかし、舌の筋力が衰えて舌の重みを支えきれなくなると、「低位舌(ていいぜつ)」と呼ばれる舌が垂れ下がった状態になり、歯やアゴなどの顔周りの成長から呼吸法まで様々な面に悪影響を及ぼします。
この低位舌を改善できるのが、舌筋を鍛える運動である「舌トレーニング」です。
舌トレは「口臭対策」に効果的
舌トレーニングには、口臭の原因となるいくつかの問題を同時に予防・改善できる効果があります。
歯並びの改善
舌トレーニングを行うことで、歯やアゴの正しい成長が促され、キレイな歯並びになって口臭が発生しにくい口内環境になります。
舌筋が衰えて低位舌になると、上アゴの成長が滞って「凸凹の歯並び」になったり、「八重歯」や「出っ歯」になったりします。さらに、下アゴや下前歯への負担が増して「受け口」になることも。
歯並びが悪い状態では、食べかすや歯垢などの汚れがお口の中に残りやすくなるので、歯磨きなどのオーラルケアを怠っていなくても口臭が発生しやすくなります。また、かみ合わせが悪くなるので、しっかりと食べ物が噛めずに胃腸への負担が増して、消化不良による口臭が現れてくる場合も考えられます。
口呼吸の改善
低位舌になると、気道が狭くなるなどの理由から口呼吸になります。口呼吸は、唾液が蒸発しやすくなって乾燥による口臭がひどくなるばかりか、ドライマウスや虫歯などのお口の病気を引き起こす原因にもなります。
さらに、口呼吸をしていると、外気を直接吸い込むために風邪を引きやすくなったり、体の免疫力が低下したりする恐れもあるので、舌を鍛えることは、口臭対策に加えて、お口やカラダの健康維持にも繋がるトレーニングと言えます。
舌苔の予防
舌が垂れ下がった状態では、舌と上アゴが擦れる機会が減ってしまうために、舌に汚れが残りやすくなります。これは、舌の表面を白く苔状に覆う「舌苔(ぜったい)」を増やすことに繋がり、強烈な口臭の原因になります。
舌トレーニングで舌を鍛えると、舌を本来の位置にキープできるようになるので、自然と汚れが取り除かれて舌苔の過剰発生を抑えることができます。
唾液分泌の促進
唾液には、口腔内の潤いを保ち乾燥を防ぐ効果に加えて、自浄作用や殺菌・抗菌作用、中和作用などの「お口の中を清潔に保つ」ための様々な効果があります。そのため、口呼吸やストレス、病気などによって唾液量が低下してしまうと、口内環境が悪化して口臭や虫歯・歯周病などを引き起こす原因になります。
舌トレーニングは舌を積極的に動かす運動なので、お口周りが刺激されて唾液分泌が促進されます。豊富な唾液は、口臭を抑えるだけでなく、口腔内の汚れを洗い流してくれるので、食べかすの除去や舌苔の予防などにも効果的です。
舌トレーニングの方法
舌の筋力には個人差がありますので、今回は「負荷のかかり具合」が違う3種類のトレーニング方法をご紹介します。一通り試してみて、自分にあった舌トレを見つけてみて下さい。
ガムを使った舌トレーニングのやり方
- ガムが柔らかくなるまで噛む
- 柔らかくなったガムを舌の上で丸める
- 舌を使って上アゴにガムを貼り付ける
- 上アゴについたガムを舌で押し広げていく
- 舌でガムを上アゴに押し付けたまま唾液をごくんと飲み込む
頻度や回数は、【一日3分間】以上繰り返すと効果的です。また、ガムの舌トレーニングを行う時は、口を閉じた状態で「鼻呼吸」を意識して、ガムの位置は出来るだけ舌の中央にくるようにして下さい。
ガムを噛む時は、どちらか一方に噛む力が偏らないように「左右バランス良く」噛んで下さい。もしも、どちらかが「噛みにくい」と感じた場合は、重点的に噛みにくい方の歯で噛んで、噛む力のバランスを整えてあげましょう。
舌を伸ばす舌トレーニングのやり方
- 舌を前に伸ばす
- 舌をアゴにつけるイメージで下に伸ばす
- 舌を鼻につけるイメージで上に伸ばす
- 舌を左に伸ばす
- 舌を右に伸ばす
- お口の周りをぐるりと一周する
肩の力を抜いてリラックスしながら、各運動を【5~10秒】程度キープしましょう。ポイントとしては、舌は思いっきり伸ばして「根本」から動かすようにします。頻度や回数については、慣れない間はアゴなどが疲れると思うので、【一日1セット】から始めて、慣れてきたら徐々に回数を増やすようにして下さい。
口の中で行う舌トレーニングのやり方
- 口をあける(3~4cm程度)
- 顔をやや上に向ける(45度程度)
- 舌先を上前歯の裏に当てる
- 舌先を下前歯の裏に当てる
- 舌先を右下奥歯に当てる
- 舌先を左下奥歯の当てる
背もたれなどに寄りかからずに背筋を伸ばして、上記3~6の動作を【一回3分】くらい繰り返しましょう。最初は無理のない回数から始めて、慣れてきたら【一日3セット】を目安に行なってみて下さい。
舌トレの期間としては、【2週間~1ヶ月】くらい続けてみて下さい。
表情筋を鍛える「あいうべ体操」もオススメ!
舌を鍛える方法として「あいうべ体操」もオススメです。あいうべ体操は、舌筋に加えて口輪筋などの「表情筋」も鍛えることができるので、お口周り全体の衰えを改善できます。とくに、口呼吸を治す方法として効果的ですので、鼻呼吸へと改善したい方はぜひ試してみて下さい。
あいうべ体操のやり方については、「口呼吸の治し方!鼻呼吸へ改善する5つの方法」をご覧ください。
まとめ:舌トレーニング
舌トレーニングは、舌への負荷が大きいほど舌筋が鍛えられ効果は高くなります。とはいえ、慣れない間はアゴや舌に痛みを感じる場合もあるため、自分の筋力に合った方法で「無理のない範囲」で取り組むことをオススメします。
また、舌トレーニングは口臭対策だけでなく、「滑舌」を良くしたり、「いびき」を改善したりする効果もあります。さらには、「小顔」や「ほうれい線」、「二重アゴ」などにも効くと言われており、美容面でも効果的なトレーニング方法ですので、ぜひこの機会に取り組まれてみてはいかがでしょうか。