体臭や口臭は多くの方が気にすることですが、自分では気づきにくいものです。
人と接した時のちょっとした相手の仕草や態度から、「もしかすると自分って臭い!?」と不安になった経験がある人もいるのではないでしょうか?
このような不安感は、自分を臭いと思い込んでしまう「自臭症」と呼ばれる精神的な病気に繋がる恐れがあります。
そこで今回は、自臭症の原因と克服法についてご紹介します。
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自臭症(自己臭恐怖症)とは?
自臭症(じしゅうしょう)は「精神疾患」の一種で、自己臭恐怖症や自己臭症と呼ばれることもある病気です。
幻覚や幻聴のような「存在しない臭い」を感じてしまう「幻臭」が現れたり、自分は臭わなくても「周りの人には臭っている」と思い込んだりすることで、「自分の臭い」に悩まされるようになります。
自臭症の特徴
自臭症になると、実際は気にするほどでもない体臭や口臭だったとしても、相手が鼻をつまんだり顔を背けたりする仕草や態度を見ただけで、「自分の臭いが相手を不快にしている」と考えるようになります。
自分が臭いと思い込むことで、一日に何度も特定箇所を洗ったり、下着などを着替えたりする行動をとるようになり、さらには、歯磨きや消臭スプレーなどのケアを「過剰」に行なってしまうという特徴があります。
自臭症の原因
自臭症は、日頃から「におい」に敏感な人に現れやすい疾患と言われています。例えば、過去に自分の口臭やワキガなどの体臭を「臭い」と指摘された体験がある人の場合、それが「トラウマ」になって自分の臭いに過敏になることで、自臭症を発症することがあります。
対人恐怖症にもつながる
自臭症が悪化して症状が重度になると、「対人恐怖症」に陥る恐れがあります。人と接することや電車やバスなどの公共の乗り物なども恐くなってしまい、学校や会社に行けなくなることも。さらに、このような状態が長引けば、「うつ病」や「統合失調症」などの危険性も出てきます。
自臭症を克服するためのチェックと治療
自分の臭いが気になったら、まずは確認
自臭症を発症した人は、自分の体臭や口臭が「現実」のことだと強く思い込んでしまいます。そのため、まず最初に、本当に現実のニオイなのか、それとも錯覚によるニオイなのかを確認することから始めましょう。
自臭症を判断するのに最も簡単で確実な確認方法は、信頼できる家族や友人に「素直に聞いてみる」ことです。抵抗があり勇気のいることですが、人から「臭わないよ」という言葉をもらうだけで不安が解消される場合がありますし、思い込みと分かればこころの治療に進むこともできます。
その他にも、歯科医院などで口臭の度合いを確認してもらったり、市販されている「口臭チェッカー」を用いて臭いレベルを測定したりするのもオススメの確認方法です。また、わきがの場合は、わきが治療のクリニックでのカウンセリングを受けたり、目安として「わきがセルフチェック」を活用してワキガ体質かどうかを確認してみて下さい。
自臭症の治療
自臭症はこころの病気ですので、治療するためには「精神科」や「心療内科」への受診が必要です。
対話や訓練などの心理療法から治療薬を用いた薬物療法まで、それぞれの症状に合った治療を行っていきます。そして、自分が臭いという思い込みや、人と接する時の不安感、過剰な口臭・体臭対策の行為などを少しずつ解消します。
自臭症が原因で、本当に体臭・口臭がする可能性も…
自臭症になると、自分の臭いを気にするあまり「過剰な臭いケア」や不安感による「ストレス」によって、実際には臭っていなかったはずの体臭や口臭がキツくなってしまう可能性があります。
例えば、過度のオーラルケアは、歯茎を傷つけて歯周病や出血の原因になるだけでなく、唾液の減少や厚みのある舌苔の発生を引き起こして口臭をひどくする原因になります。また、頭皮や顔などを洗いすぎてしまうと、少なくなった皮脂を補うために、さらに皮脂分泌が増えて臭いが強くなることも。
ストレスは、自律神経のバランスを乱して、唾液量を低下させ乾燥による口臭の原因になったり、「精神性多汗症」と呼ばれる多量に汗をかく症状を引き起こしたりします。さらには、内臓機能の低下による「アンモニア臭」などを伴う口臭や体臭の原因になる恐れがあります。
ストレスによる口臭については、「ストレスによる口臭!唾液分泌や胃腸の働きを改善する対策法」をご覧ください。また、精神性多汗症については、「ストレスで大量の汗が!?自律神経を整える発汗対策」をご覧ください。
まとめ:自臭症の原因と克服法
自臭症は比較的稀な疾患と言われていますが、自分が臭いと「思い込む」のが特徴の病気ですので、自臭症を発症していることに気づいていない方が多く潜んでいる可能性も考えられます。
自分の体臭や口臭を「客観的」にチェックして自覚することや、トラウマになるような嫌な思い出を引きずらずに、あまり「思い詰めない」ように心がけながら、上手に自分と向き合っていきましょう。