非喫煙者に大きな不快感を抱かせる「タバコの臭い」は、スメルハラスメントの問題や健康志向の高まりによって、近年では多くの人が印象を悪くする体臭のひとつです。
そのため、喫煙者にとってタバコ臭のケアはとても重要な臭い対策になりますが、タバコの煙が原因となる臭いだけに囚われていると、思いもしない体臭が悪化している場合も。
そこで今回は、タバコ臭の対策だけでなく、吸いすぎがワキガや頭の臭い、加齢臭などの体臭に与える影響やその対処法についてご紹介します。
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タバコと体臭の関係
タバコが原因となる体臭には、煙の強い臭いにくわえて、タバコの吸いすぎにより体内環境が悪化して起こる「特有の体臭」があります。
タバコの煙の臭い
タバコによる体臭の中で最も一般的なものが「煙の臭い」です。タバコの煙には独特なヤニ臭さをつくる「タール」や、刺激臭で知られる「アンモニア」や「酢酸」などの様々な悪臭を作り出す物質が含まれています。
これらのタバコの成分が口や肺、頭髪や服など至るところに付着することで、自分の体臭がキツくなるだけでなく、周りにいる人にまでタバコ臭が染みつく原因になります。
汗の臭い
常習的にタバコを吸っている人は、非喫煙者に比べて「汗の臭い」が臭くなりやすい傾向にあります。タバコに含まれる「ニコチン」は、視床下部にある体温調節中枢を刺激して汗の分泌を促す作用があるため、通常よりも発汗量が増して臭いが強くなることも。
さらに、肺に入ったタバコの有害物質が血液に溶けてカラダ中を巡ることで、汗が分泌される際に一緒になって排出されてしまい喫煙者特有の体臭を作り出します。
血行不良による体臭
タバコによる「血行不良」も体臭原因のひとつです。ニコチンは体内に吸収されると毛細血管を収縮させる作用があるために血流が悪くなります。また、タバコに含まれる「一酸化炭素」も、血液中のヘモグロビンと結びついてカラダを酸欠状態にしたり、血管内部を傷つけたりすることで血行不良を引き起こします。
血行不良になると、乳酸とアンモニアが結びついて汗と一緒に分泌されることで発生する「アンモニア臭」や、頭皮の常在菌が乳酸を分解することで発生する「ミドル脂臭」などの独特な臭いを発する体臭が現れてきます。
皮脂の臭い
タバコを吸うと交感神経が過剰に刺激されることに加え、抗ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が促されるために「皮脂」の分泌量が増えます。さらに、皮脂分泌を抑制する働きのある「ビタミンC」が大量に消費されてしまい、皮脂分泌のコントロールが効かなくなります。
皮脂は酸化されることで「酸化臭」を発生させて体臭の原因になるだけでなく、タバコの有害物質の処理時に発生する「活性酸素」によって酸化することで、「加齢臭」の原因となる過酸化脂質という物質が作られます。
肝臓への負担による体臭
体内に入ったニコチンは肝臓で分解されますが、ヘビースモーカーの場合は常に肝臓の解毒作用が働き続けるために肝臓への負担が増します。さらに、タバコに含まれる「アセトアルデヒド」が肝細胞を壊すことも肝機能を低下させる原因と言われています。
肝臓へ負担がかかり肝機能が低下すると、本来は分解されるはずのアンモニアなどの有害物質が処理されずにカラダに残ることで、最終的に汗や呼気に混ざって体臭や口臭として現れてきます。
タバコの体臭 パターン別対策法
タバコの吸いすぎによる体臭の中でもとくに影響を受けやすいのが、わきがや加齢臭、頭皮・頭髪などです。
ワキガ臭
タバコによる体臭においてワキガ体質の人が最も気をつけたいのが、ニコチンによる汗量の増加です。
ニコチンによる発汗では、主に体温調節の働きをもつ「エクリン汗腺」が影響を受けて汗量が増えると言われていますが、ワキガ臭に大きく起因しているのはもう一つの汗腺である「アポクリン汗腺」のため、タバコが直接的にワキガ臭の原因になるわけではありません。
しかし、ワキガ体質の人の場合、脇の汗量が増えることで細菌の繁殖や分解がさらに進んでしまうために、臭いが拡散されてワキガ臭が強くなります。
そのため、制汗剤などで汗を止める対策にくわえ、こまめに脇汗を拭き取るなどの発汗後のケア、そして、臭いの発生を予防するための「消臭・抗菌」などの対策を怠らないことが大切です。
毛髪の臭い
間違ったヘアケアや過度のカラーリング・パーマ、紫外線や摩擦などが原因となって「毛髪」が傷んでしまうと、タバコの煙の臭いが吸着しやすくなり髪の毛自体が臭くなります。
タバコの臭いの吸着を防ぐためには、お出かけ前やスタイリングの仕上げに「消臭・防臭」の成分の入ったヘアスプレーを吹きかけておくと、髪の毛をコーティングできてニオイ物質の付着を抑えられます。さらに、日頃からトリートメントなどで傷んだ毛髪をケアすることも大切です。
また、すでにタバコ臭くなっている場合は、「ドライヤー」で髪の隅々まで風が行き届くようにあてると、ニオイ物質を飛ばすことができるので臭いを軽減できます。ドライヤーを当てる前に、軽く髪を濡らすとさらに効果的です。
タバコの臭いが付着した後に臭いを消すためにヘアスプレーをしてしまうと、香料とタバコ臭が混ざってさらに悪臭を発する可能性があるので注意しましょう。
加齢臭や頭皮などの臭い
加齢臭や頭皮などの「皮脂」が関わる体臭では、皮脂と活性酸素を抑制する対策が重要です。
脂っこい食事を好む人は皮脂分泌が増加しやすい傾向にあり、お酒好きの人は過度の飲酒によりアルコールの分解時に活性酸素を大量に発生させる原因にもなります。心当たりのある方は暴飲暴食を控え、日々の食習慣を改善することを心がけましょう。
さらに、活性酸素の働きを抑えてくれる「栄養素」の摂取も大切です。とくに、喫煙により消費されてしまうビタミンCは、高い「抗酸化作用」や「皮脂抑制」にくわえ、アルコールやタバコの有害物質の無毒化やストレス軽減の助けなどの効果がありますので、サプリメントを活用して積極的に摂取しましょう。
抗酸化作用のある栄養素についての詳細は、「すっきり体臭改善!臭いを防ぐ食品&栄養素」をご覧ください。
体内環境の悪化による臭い
タバコの有害物質が原因で血行不良や肝機能が低下している場合は、表面的な体臭対策では補いきれない面が大きいため、何よりも「吸いすぎの改善」が重要になります。
それにくわえ、湯船につかる入浴や軽めの運動の習慣化、ストレスや疲労の軽減、十分な睡眠の確保などの取り組みを併せて行うことで、血流や内臓機能の改善だけでなく「健康的な体づくり」に繋がり多くの体臭改善に役立ちます。
また、アンモニア臭のする体臭対策には「ミョウバン水」がオススメです。酸性のミョウバン水は、アルカリ性のアンモニアを中和して臭いを消してくれるだけでなく、抗菌・殺菌・消臭・制汗などの作用もあるため、ワキガや頭皮の臭い対策としても活躍してくれます。
ミョウバン水の上手な活用法については、「ミョウバン水の効果的な使い方!わきがや頭皮の消臭&汗対策」をご覧ください。
タバコの臭いが服についた時は…
タバコを吸う人だけでなく、非喫煙者も悩ませるのが「服の臭い」です。すぐに洗濯できる服の場合は臭いを残さないように洗うことで対処できますが、制服やスーツ、コート、セーターなどの頻繁には洗えない服については、帰宅後に「ニオイ消し」のケアを行いましょう。
服に付着したニオイ物質は水に溶けやすい特性があるので、スチームアイロンやドライヤーを活用して水分と一緒に臭いを蒸発させることでタバコ臭を消すことができます。ドライヤーを用いる場合は、水を入れた霧吹きや消臭スプレーなどで臭いが気になる衣服を軽く湿らせてから乾かすと効果的です。
また、お肌と接する襟などの汗染みはヤニ汚れの原因にもなるため、放置せずに濡れタオルなどで丁寧に拭き取って下さい。
服の臭い取りについての詳細は、「制服・スーツが臭い!毎日は「洗えない服」の臭いを取る方法」をご覧ください。
まとめ:タバコの吸いすぎによる体臭
タバコによる体臭を改善するためには、喫煙本数を減らしてあまり吸いすぎないように心がけながら、同時に汗や皮脂のケアからカラダの体調管理まで、非喫煙者以上に気をつけることが大切です。
また、タバコは自分の体臭をキツくするだけでなく、煙の臭いや副流煙によるカラダへの悪影響などで周りにも迷惑をかけてしまうものですので、可能であれば「禁煙」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
※タバコは口臭を悪化させる要因にもなりますので、「タバコによる口臭の対策!喫煙後の嫌な臭いを消す7つの方法」も併せてご覧ください。