亜鉛は、16種類の必須ミネラルのひとつで、私たちの健康維持に不可欠な栄養素。体臭予防に役立つ効果がたくさん秘められていて、食べ物やサプリメントから意識的に摂取したい成分です。
しかし、亜鉛の一日の摂取量を間違うと、せっかくの体臭予防の効果が失われ、体臭が悪化したり体調不良に悩まされたりする可能性もあるので注意も必要です。
そこで今回は、亜鉛の体臭予防・改善の効果や、亜鉛を効果的に摂取するヒント、過剰摂取によるデメリットなどをご紹介します。
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亜鉛の体臭予防の効果
亜鉛は、消化吸収・代謝・排泄・免疫などに関わる約300種類もの酵素の活性化に関係しています。そのため、亜鉛を十分に補給することは、体内の健康を維持することに繋がり、間接的に体臭や口臭に良い影響を与えてくれます。
抗酸化作用
亜鉛は、SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ Super Oxide Dismutase)と呼ばれる抗酸化酵素の成分で、体内で増加した活性酸素の分解(無毒化)に一役買っています。また、ビタミンAのもつ抗酸化作用を活性化させる働きもあるので、生活習慣病の予防やアンチエイジングとして効果的です。
体内で活性酸素が増えると、血行不良や内臓機能の低下、皮脂の酸化による過酸化脂質の発生などで、「ミドル脂臭」や「加齢臭」など数多くの体臭を引き起こす原因になります。
貧血の予防
貧血といえば、鉄分不足のイメージがありますが、亜鉛不足によっても引き起こされます。亜鉛は、壊れにくい丈夫な赤血球を作るのに重要な成分なので、体内の亜鉛が不足すると「亜鉛欠乏性貧血」の症状が現れてきます。
貧血になると、栄養や酸素を全身に送れなくなるので、内臓機能や代謝力が低下してアンモニアや乳酸などの物質がカラダに溜まりやすくなります。その結果、汗や呼気に混ざり込むことで、「アンモニア臭」や「酸っぱい臭い」の体臭が発生します。
お肌の新陳代謝を高める
亜鉛は、細胞の新陳代謝と密接に関わっています。亜鉛の摂取によりタンパク質の代謝が促進されることで、正常なお肌のターンオーバーが行われて健康的な皮膚を保つことができます。そのため、亜鉛不足の人は、ターンオーバーが乱れやすく、「皮脂の過剰分泌」が起きてオイリー肌になるケースが増えます。
皮脂量が多い皮膚環境は、皮脂の酸化による「酸化臭」で頭皮の臭いがきつくなったり、過酸化脂質の発生で加齢臭が悪化したりする原因になります。
アルコール分解を促進
亜鉛は、アルコール分解に不可欠な「アルコール脱水酵素」の材料になるだけでなく、タンパク質の合成をサポートして新しい細胞を作り出すことで、肝機能の回復や向上、肝炎や肝硬変などの病気の予防に役立ちます。
過度のアルコール摂取は、アセトアルデヒドによる「お酒臭い体臭」のほか、肝臓を疲弊させて「肝機能の低下による体臭」の原因になります。
自律神経やホルモンバランスを整える
亜鉛は、ホルモンや神経伝達物質の生成に関わっている栄養素です。このことから、自律神経やホルモンバランスを整えて、内臓機能やホルモン分泌などの体内環境を改善したり、精神安定によりうつ病を緩和したりする効果が期待できます。
自律神経やホルモンバランスが崩れると、異常な量の発汗、皮脂分泌の増加、便秘、消化不良といった体臭や口臭がきつくなる原因が増えてしまいます。
亜鉛を体臭対策に活用するヒント
亜鉛を多く含む食べ物
亜鉛は不足しやすい栄養素なので、食生活の中で意識的に摂取することが大切です。とくに、植物由来の亜鉛は、動物由来に比べて吸収率が悪いので、ベジタリアンやビーガンの人はしっかり摂るようにしてください。
亜鉛の推奨摂取量(日)
亜鉛の一日の推奨摂取量は、
- 成人男性 10mg
- 成人女性 8mg
が目安です。現在の日本人の亜鉛摂取量が、「男性平均 8.8mg」・「女性平均 7.2mg」で、男女ともに足りていない状況ですので、次のような食材を普段の食事メニューに効果的に取り入れてみましょう。
亜鉛が豊富な食品
- カキ
- 煮干し
- するめ
- 牛肉(ひき肉・肩肉)
- 豚レバー
- 卵黄
- 大豆食品
- ゴマ
- チーズや牛乳
- カシューナッツ
- アーモンド
とくに、「カキ・牛肉・レバー・卵黄」などの動物性食品に豊富ですが、ベジタリアンの場合は、大豆食品やナッツ類を意識して食べることで亜鉛を補ってください。また、お酒を飲むときは、おつまみに「レバニラ炒め、チーズ盛り合わせ、ミックスナッツ」などを選ぶのがオススメです。
亜鉛の吸収率を高める食べ方
亜鉛はあまり吸収率が良くないので、「亜鉛と相性の良い栄養素」と同時に摂取することで、効率よく亜鉛の効果を得ましょう。
- ビタミンC
- クエン酸
- 動物性タンパク質
- ラクトース
ビタミンCやクエン酸を一緒に摂ることで、キレート作用により亜鉛を包み込んで吸収率を高めてくれます。また、動物性タンパク質やラクトース(乳糖)も吸収を促進してくれます。
具体的な食べ物としては、「肉・魚」、「レモン・カボス・ゆずなどの柑橘類」、「牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品」が亜鉛との相性が良いです。
運動後は亜鉛を意識的に摂る
激しい運動をする人は、亜鉛が不足しがちなので要注意です。汗には亜鉛が多く含まれているので、運動などで沢山の汗をかくと、体外へ流れ出る亜鉛の量も自然と多くなってしまいます。また、運動負荷が高いと亜鉛の消費量も増加してしまうので、ますます亜鉛不足に陥ることに。
運動だけでなく、半身浴やサウナ、岩盤浴などでしっかりと汗をかいた後は、意識的に亜鉛を摂取することを心がけてください。
偏ったダイエットはNG
きつい食事制限による偏ったダイエットは、どうしても栄養不足になりがちで、亜鉛の摂取量が不十分になるケースが少なくありません。
とくに女性の場合、キレイになりたくてダイエットに挑戦してる人も多いと思いますが、カラダに負担の大きな食事量を減らすダイエット法は、たとえ痩せることが出来たとしても、亜鉛不足で「髪の艶がなくなってお肌はカサカサ…」なんていう残念なことになりかねないので注意してください。
偏ったダイエットは、ダイエット臭などの体臭原因にもなります。詳しくは、「ダイエット臭の原因と対策!代謝力をアップして無臭美人へ」をご覧ください。
亜鉛の吸収を阻害する食品に注意
加工食品やレトルト・インスタント食品を頻繁に食べる人は、食品添加物(ポリリン酸やフィチン酸)の作用で、亜鉛の吸収率が悪くなるので注意が必要です。また、ほうれん草などの緑黄色野菜に含まれるシュウ酸や、穀類・海藻に含まれる食物繊維も亜鉛の吸収を阻害する場合があります。
その他には、鉄や銅を摂りすぎると亜鉛の吸収が悪くなり、亜鉛を摂りすぎると鉄や銅の吸収が悪くなります。栄養はバランスよく摂取することで、一部の成分だけに偏らないように心がけてください。
亜鉛サプリメントで補う
食事だけで亜鉛を補うのが難しい場合は、亜鉛サプリメントから摂取してもOKです。成人の亜鉛摂取量は、8~10mgが目安とされていますが、亜鉛は吸収率が悪いので、市販のサプリメントは「10~15mg」くらいの配合量になっているものが多いようです。
亜鉛の過剰摂取で体臭がきつくなる?
基本的に、食事から亜鉛を摂取するだけなら、過剰摂取による副作用を心配する必要はありません。しかし、サプリメントと併用する場合は、急性中毒による嘔吐や下痢、頭痛、食欲不振などの症状が現れる可能性があるので注意が必要です。
さらに、ミネラルのバランスが悪くなって貧血症状が悪化したり、胃や腎臓に負担がかかって臭い物質が体内に溜まったりすることで、体臭や口臭がきつくなる可能性も考えられます。
成人の亜鉛の「耐用上限量(一日)」
成人が摂取したとしても、殆どの人に健康障害が起こる危険性がないとされる「耐用上限量」の目安が以下のとおりです。
- 成人男性 40~45mg
- 成人女性 30~35mg
この量を超えるには「大きめのカキを18個くらい」食べないと上回ることができません。そのため、一般的な食生活と食事量であれば、健康障害や副作用が現れる心配はまずありません。
食事からの亜鉛摂取を基本にしながら、補えない時にサプリメントを上手に活用することで過剰摂取にならないように気をつけてください。
まとめ:亜鉛と体臭
亜鉛による体臭対策を安全に行なうには、「適正量を守って過剰摂取をしない」、「効率よく栄養を取り入れる」、「体に負担をかけない」の3つがポイントです。
亜鉛は、意識しないとどうしても不足しやすい栄養素なので、体臭対策としてだけでなく、生活習慣病の予防や肌トラブルの改善など、色んな健康&美容効果に役立てるためにも効率的な摂取を心がけてみてください。